対潜哨戒機P−3をIED探知に転用

2006.9.19

 対潜哨戒機P−3を、イラクのIED(簡易爆弾)対策に転用しようという計画が進められています。そのために、2億1,780万ドル(約255億円)の予算が計上されました。この計画は今年初めから進んでいたようで、開発期間は6年間を見込んでおり、その中には、輸送計画ソフトウェア、無線式IEDの動作を妨害する「クルー3」と呼ばれる装置、「the combined explosive exploitation cell support effort」という何だかイメージが湧かない何かが含まれているそうですが、これ以上の情報は公開しないということです。P−3の改造はこれが初めてではなく、すでに2001年に、P−3航空機改良プログラム(AIP)により、長距離の電子・光学画像処理システム、高解像度赤外線画像処理システム、合成開口レーダーと同様の装置が搭載され、アフガニスタンで使われているといいます。

 この話を対テロ戦争の新たな展開と受け止めることはできません。要するに、旧ソ連の原潜の脅威が激減した現在、対潜哨戒機の活動の場が減ったため、何か役割を与えようという動きが起こっており、その一環だと考えて差し支えないからです。使用する新技術が公開できないのは、公開した途端にあちこちから批判が飛んでくるような意味のないものなのか、テロリストたちに対抗手段をとられないためなのかのいずれかでしょう。

 しかし、直感的には前者が理由ではないかと考えます。上空からIEDだけを探知できるような都合がよい装置を想像することはむずかしく、実はIEDを設置しているところを探知する装置なのではないかと疑ってしまいます。この戦争をハイテク兵器で解決しようという考えは捨てるべきです。もちろん、米軍はあらゆる手段を検討しなければいけない立場なのでなんでもやるでしょうが、これに期待するのは間違いの元です。

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