前代未聞の小銃紛失事件

2006.9.10

 8日、陸上自衛隊第4師団玖珠(くす)駐屯地(大分県玖珠町)で、隊舎内の武器庫に保管していた64式小銃1丁、拳銃1丁、弾倉3個、双眼鏡1個を紛失しました。

 紛失とはいえ、施錠・保管していた備品の数がなくなったのですから、盗難と言うべきでしょう。武器管理の厳しい自衛隊にとって、前代未聞のゆゆしき事態と言わなければなりません。自衛隊の名誉にかけて犯人を捜し出さなければなりません。しかし、武器庫の鍵を持っているのは限られた隊員だけなので、犯人は数名に絞られます。もともと、この駐屯地には第4戦車大隊と第4対舟艇対戦車隊しかおらず、事件を起こした第4戦車大隊本部管理中隊には約70人しか隊員がいません。午後4時45分ごろ、当直の幹部が武器庫の鍵を開けて数を点検したところ、数が合わないことに気がついたのですから、前回の点検までの隊員の動きを調べればよいことになります。この日は朝から午後にかけて大分県別府市の射場で射撃訓練が行われましたが、64式小銃は使わなかったということです。この日の訓練で使った武器を戻した時が、犯行時刻として最も疑われることになります。また、盗まれたものの大きさを考えると、服に隠せるとは思えないため、袋などに入れたはずです。また、小銃は分解して短くしたことも想像されます。その作業は自衛官なら造作はないはずです。しかし、限定された場所で起きた事件ですから、盗んだ隊員が罪を隠し続けることはできません。事件後姿を消した隊員がいないのかが気になりますが、今のところ、何の発表もありません。

 事件の背後には軍事マニアがいる可能性はないでしょうか。64式小銃、拳銃、弾倉と双眼鏡という盗品から見て、犯罪に使うためと言うよりは、マニアがほしがる物ばかりという感じがします。玖珠町には、JR駅も高速道路のインターチェンジもあります。盗品をすぐ遠くへ運ぶことは可能でした。まだ、盗品が駐屯地の敷地内にあることを祈っています。

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