金正日の訪中は実現するか?

2006.9.4

 金正日が列車で中国を訪問したという情報は、金正日の義弟・張成沢(チャン・ソンテク)朝鮮労働党組織指導部第1副部長である可能性か、朝鮮人民軍の朴在慶(パク・ジェギョン)大将だった可能性も高いと、連合ニュースが報じました。しかし、少なくとも、現在金正日は中国にはいないことは、中国が金正日の招待を計画中という報道で打ち消されました。今後の焦点は、金正日が招待に応じるかどうかです。それは中国がどんな条件を提示するかに大きく左右されます。しかし、金正日の訪中が実現する可能性は現在のところは低いと思います。中国の熊光楷・前副総参謀長が自民党・山崎拓氏との会談で北朝鮮の核実験について、「中国は絶対に反対する」と述べたと言います。中国のこうした意向は北朝鮮も理解しているはずです。国連決議に中国が賛成して以来、北朝鮮は中国への批判を極めています。この状態で訪問に応じれば、中国と妥協せざるを得ません。

 現在、旗対嶺で再びミサイル発射の準備が進められています。これは建国記念日向けの準備でしょう。ミサイルを発射する可能性は十分にあります。同時に、核実験を行う可能性もありますが、9・11の追悼日に近すぎるのでアメリカに刺激を与えすぎるのを避けるという見方も出ているようです。私はそれを理由に中止はしないと考えています。北朝鮮が本気なら、必ず核実験を強行するでしょう。北朝鮮はできるだけ早くにミサイルと核攻撃力を完成させたいはずです。そうすれば、開発にかかる費用を別の分野に振り向けられます。北朝鮮が開発を急ぐことには、戦争をはじめるというよりは、諸外国の圧力を跳ね返すという目的があると考えられます。おそらく、彼らは、それが外国に脅威を与えるという自覚は少なく、自衛のつもりで核開発を進めているのです。仮に、イランが中東で戦争をはじめても、北朝鮮がその戦争に参戦する可能性はないでしょう。報復力を持っていれば、金正日はアメリカが自分を殺すことをためらうだろうと考えているのでしょう。日本はこういう彼の思いこみで苦労させられているわけです。

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