1年ほどでイラク保安隊が完全自立?

2006.9.1

 昨日のIraq Sunの記事を裏づけるような報道がありました。ジョージ・ケーシー大将が、「日程は決まっていないが、12〜18ヶ月で、イラク保安隊は自分で国土の防衛責任を果たせる段階にまで進む見通しを持っている」と発言しました。現在、75パーセントのイラク保安隊は独自に作戦行動が取れる状態にあり、最終的に完全に独立して行動するようになるというのです。しかし、これは米軍の早急な撤退を意味するものではないとのことです。米軍はイラク保安隊に任務を任せて、大きな基地へ移動し、イラク保安隊を支援する活動に移行します。米軍の撤退はそこまで進展したあとで開始されます。

 あれほど訓練に苦労していたのに、急にイラク保安隊が整備されたのには裏があるのでしょう。アメリカはいよいよイラクから足を抜きたいのです。イラク保安隊の訓練をより低レベルに設定し、適当に形をつけて任務完了とするつもりかも知れません。そして、ほかの場所での戦いに人的、物的資源を集中できるようにするのです。もちろん、これには何年もかかるでしょう。いずれ、彼らを訓練した米兵たちの口から、イラク保安隊の訓練度の問題が露見する時が来るかも知れません。よって、今後、この情報に注意が必要です。

 そして、その結果、何が起きるかといえば、イランのイラクへの浸透です。アフマディネジャド大統領が、イラク国内のシーア派の取り込みをやらない訳はありません。最近、自分のブログを開設するなど、活発に動いているアフマディネジャド大統領ですが、危険なまでに保守的なイスラム主義者です。最初の対応を誤ったばかりに、アメリカは問題を引きずり、拡大させています。戦略眼の重要性を実感せざるを得ません。

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