吉進丸事件・政府とマスコミの共同正犯

2006.8.22

 今朝のテレビ番組に、山中あき子(「あき」は偏が「火」、つくりが「華」)政務官が出演し、拿捕された乗組員に面会した時の状況を語りました。その中で、銃撃された時の状況について聞き取りを行ったと話しましたが、正確な状況は話しませんでした。ロシア側がカメラの前で、船長に中間ラインを超えたかを質問してほしいと要望しましたが、山中氏は策略を感じて質問しなかったといった、やはり領土問題がらみの話になりました。どうも、マスコミも拿捕の経緯を詳しく解明する気はないようで、実態をぼかしたまま、ロシアの過失ということで落着させたいようです。「吉進丸事件」とはっきり書かないところにも、外務省とマスコミの意向が見えます。現在ロシアが行っている拿捕が適正だったかの調査の結果が報じられる時が、真相を知る最後のチャンスかも知れません。

 海外ニュースも見てみましたが、すべて共同通信の記事が引用されており、参考になりません。中国の記事には、吉進丸はロシア警備艇の無線と発光信号に応えることなく長距離を逃走し、その後、停船したと書いてありますが、それ以上のことは書いていません。事件を報じたタス通信の記事も、大して詳しいことは書いていません。ロシアの秘密主義に日本は助けられているようです。

 ロシア警備隊は事件後、極東沿岸で、カンボジア、中国、ロシアなどの密漁者を逮捕しています。このように遠方からも密猟者がやってくるのが現状です。北方領土問題がこの事件の根本原因と考えても、問題は解決しません。吉進丸は、北海道の規則に照らしても、かにかご漁の許可区域外で操業していました。

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