テロ犯逮捕の舞台裏が明らかに

2006.8.16

 依然として、イギリスの航空機テロに関する情報はほとんど出てきません。メディアはもう事件が終わったものと見ているようで、未だに解明されていない数多くの事柄には無頓着です。やっと出てきた情報は、容疑者逮捕の舞台裏です。毎日新聞が14日に、容疑者グループが1年前から追跡されていたことを報じました。

  • ロンドン警視庁とMI5の共同捜査
  • 情報源はイスラム系の協力者
  • 電子メール、携帯電話による盗聴
  • GPSを使って容疑者の車の移動を掌握
  • 今年3月、容疑者グループが英国発米国行きの航空便の料金を問い合わせ、12人が米国のビザを申請
  • 7月末、容疑者グループが化学物質と実験用眼鏡を注文

 実験用眼鏡は、視力矯正要ではなく、科学実験の際に爆発などから目を保護するための眼鏡です。これを購入した以上、何らかの実験を行うつもりだったことが分かります。

 適切なタイミングで容疑者グループを逮捕する予定が、7月末から8月までに、パキスタンに潜伏していたラシド・ラウフが同国の警察に逮捕されたため、決行を急ぐ可能性を考えて逮捕に踏み切ったとのです。イギリスはパキスタンにラシドを監視するよう要請していたのに、どういう理由かは分かりませんが、ラシドは逮捕されてしまいました。ラシドは容疑者の一人タイブ・ラウフの兄だということです。また、家宅捜索では、過酸化物入りのボトルなどが多数押収されました。

 これでようやく事件の存在を信じる気にはなりましたが、計画の詳細は未だに明らかではありません。やはり、今後の情報に注意すべきだと思います。専門家の間にも、アルカイダの関与については疑問視する声があがっています。Council on Foreign Relationsのサイトには、この事件にビンラディンやザワヒリは関与していない可能性があるという記事が載っています。また、アルカイダがテロ志願者に事件を起こさせようとする傾向があるのに対して、今回の容疑者たちは自分たちで計画を立てていたとも指摘しています。ブッシュ大統領は犯人グループを「イスラムのファシスト」と呼んで問題視されましたが、これは同時に犯人の真の姿が分かっていないことを暗示します。

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