イスラエルとレバノンが調停案に同意

2006.8.13

 STRATFORの戦況図によると、30,000人への増員が認められる少し前から戦線が前進しはじめていましたが、増員の効果もあるのか、着実な前進に変わりつつあります。それでも、リタニ川以南を占領するのには、依然として1ヶ月程度かかりそうな気配です。以上は戦術的な状況の説明です。

 政治面では、イスラエル軍はリタニ川以南を占領してもヒズボラのミサイル攻撃を止められません。ヒズボラも、これ以上レバノンをイスラエル軍の空爆にさらすのは避けたいと考えているようです。そこで、ようやく「8月14日の停戦」で調停がまとまったという訳です。今回の事件は、イスラエル軍兵士の誘拐という衣装を装ってはいるものの、反イスラエル色を全アラブにまき散らしたという点では大きな効果がありました。また、ヒズボラのやり方がイスラエルを追い込めるということも知らしめたと言えます。テロ志願者を増やすために大きく役立ったとも言えます。今回の戦争は双方引き分けでも、将来的な効果を考えると、ヒズボラがアドバンテージを得たのです。その効果がどんなところに出てくるかを今後注意していなければなりません。

 11月から東京で、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンによる「4者協議」が行われることが決まっています。これは、先に小泉総理が訪問した時に提案したものです。日本の政府開発援助(ODA)で、ヨルダン川渓谷の農業振興と社会基盤整備を行うという話で、要は外務省の肝いりです。悲しいことに、日本の外交はODAをばらまくことしか技がないのです。

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