レバノン紛争は、いよいよ膠着状態に

2006.8.9

 STRATFORの戦況図を見る限り、イスラエル軍はほとんど前進できていません。昨日は、国境から8キロの地点で激しい戦闘が行われたといいます。まだ、この地点で戦闘が起きるということは、何も進展がないということです。イスラエル軍は住民に外出禁止令を出しました。これは移動中のヒズボラを攻撃するため、一般人とヒズボラの分離を図っているのです。この状況で指示に従わないとヒズボラとみなされ、航空機による攻撃を受ける恐れがあります。こうしたことからも、戦況は必ずしもイスラエルに有利ではないと考えられます。

 現在、イスラエルはリタニ川以北にも戦域を拡大するのを検討しています。南レバノンに侵攻すればヒズボラが参ると思っていたのは誤算で、長射程のミサイルを所持していることも分かったので、慌てて作戦の基本的な方針を変更せざるを得なくなったのです。リタニ川以南を占領してもヒズボラの攻撃を食い止めることはできないことは、このサイトで何度も指摘したことです。ごく単純な思考をすれば、誰でもこういう結論に達すると思うのですが、なぜかイスラエルは考えが及ばなかったようです。攻撃を仕掛けているのはイスラエルですが、実は後手に回っているのです。イスラエルは教科書通りながらも、独創性に欠けた戦略に陥っているように見えます。戦況も政治も、イスラエルは両方で膠着しているのです。

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