進撃が鈍化。紛争はさらに長期化の見通し

2006.8.8

 BBCの記事がイラスト地図とテキストでレバノン紛争の戦況を上手く報じています。それらの中から戦況を判断できる情報を拾いました。前回、登録者しか見られない情報だと書いたSTRATFORの地図がユタ大学の地図コレクションからリンクが張られていたので紹介します。これは7日宇の戦況図です。現在、一般公開された中では、これが最も詳しい戦況図だと思われます。こうした地図を見て、戦況を想像できるようになると、戦争が読めるようになります。

 BBCのテキストで興味深いのは次の情報です。

  • ビントジュバイル(Bent Jbail)でイスラエル兵3名、ヒズボラ兵5名が戦死。
  • ティール(Tyer)とリタニ川(Litani River)の北側をつなぐ橋が爆破され、孤立化が進行。
  • ラス・アル・ベイダ(Ras al-Beida)、ティール南部、マルカバ(Markaba)、タイベ(Taibe)で戦闘が膠着。
  • 南レバノン国境のナクオラ(Naqoura)などでさらなる戦闘が発生。

 地図とテキストから判断した限りでは、一般的な侵攻作戦の進展と比べて、戦闘はかなり遅れています。ビントジュバイルやタイベなど、初期の目標地点で未だに戦闘が続いています。イスラエル軍はそれらの町に進出したものの、敵を完全に追い払えないのです。本来、占領した町を通り過ぎて、次の目標の攻撃準備をしているべきタイミングですが、ヒズボラが予想以上に頑強に抵抗しているのです。しかも、進撃した背後でもさらに戦闘が起こっています。明確に戦線が形成されない複雑な戦闘になっています。

 分かるのがイスラエル軍の動きだけで、ヒズボラがどんな態勢なのか分からないのが残念です。これだけ自由にヒズボラが動いていることからは、地下トンネルの活用を連想します。今後、ヒズボラの戦術に関する情報を調べたいと思います。

 それから、ティールへの空挺作戦は占領が目的ではなく、ヒズボラの拠点潰しのためだったようで、空挺部隊は引き揚げています。この状況では、いつ地上部隊がティールに行き着くのか分かったものではありません。

 これでは1ヶ月という予測も怪しくなります。もっと時間がかかってもおかしくありません。その間、空爆やミサイル攻撃が続き、犠牲者が増えていきます。これがこの紛争にどう影響していくかが問題ですが、アラブ諸国でヒズボラ支援の声が一層高まるのは必至です。イランの核開発を正当化する声も高まるでしょう。それが破壊的な大戦争につながる可能性を、常に考察していく必要があります。

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