4発目以降にノドンが含まれていない可能性

2006.7.19

 私が提示した日本テレビの情報に基づいて、globalsecurity.orgの記事が更新されることになりました。現時点ではまだ更新されていないようですが、草稿を見せてもらったので一部を紹介します。

 大きな変更は、4発目以降にノドンは含まれていないと推定したことです。自衛隊の資料に見られる4発目以降のCEPが、ノドンが含まれていると仮定した場合に比べて大きすぎるためです。発射時刻にも日本政府がリークした情報が追加されました。

 私からの情報に基づく修正ではありませんが、テポドン2の飛行距離も0.5〜8.4kmへ変更されました。弾頭の覆いが壊れたのが0.5kmの段階で、その後、テポドンが次々と部品を落としながら。1段ロケットが8.4km先に墜落したという推定です。なんとも、すさまじい失敗です。ロケット開発の黎明期によく見られた類のものです。 

 政府は何も言わないつもりのようですが、5日に防衛庁が発表したように10分単位でしか探知できなかったのではありません。当日放送されたテレビ映像をチェックしていたら、NHKの午前4時55分からの定時ニュースで「政府関係者の話として、テポドン2は午前3時32分に発射され、同38分に着弾した」と報じているのを確認しました。当たり前の話なのですが、この段階で少なくとも分単位の情報が政府には届けられていたのです。ところが、この日に防衛庁が資料を発表した途端、発射時刻は10分単位に精度を落としました。イージス艦の性能なら少なくとも秒単位で記録できたはずですから、10分単位は国民を馬鹿にする類のものです。また、日本テレビが放送した書面の映像には一部ぼかされた部分がありました。恐らく、これは着弾位置の座標のはずです。座標を映さないという条件で資料が開示されたものと考えられます。政府は「自衛隊の探知能力を外部に知られないため」と考えているのでしょうが、これでは無用な不安をかきたてるだけです。

 18日、朝鮮日報は「韓米両国の情報当局はまた、5日に発射されたテポドン2号は発射から42秒後に突然爆発したのではなく、発射29秒後にトラブルが発生し始め、ミサイルの一部から炎が発生して正常の軌道から外れ、42秒後に完全に爆発し四散したという暫定的な結論を出す方向であることが分かった。」と、また別の墜落プロセスを報じました。私としては、この見解には疑問があります。国防総省はテポドン2が空中分解後さらに2分間飛行したと説明していますから、本当にアメリカがこの見解に立っているのかも疑問です。韓国は北朝鮮と臨戦態勢にあるため、今でも軍の力が強く、報道される内容に軍のバイアスが強くかかる場合があります。この報道にもそれが作用していないか気になります。

 靴の上から足を掻くような話ばかりですが、あるいはこれが現在のMDの限界なのかも知れません。
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