米兵による虐殺事件の裁判が進展

2006.7.9

 遅れに遅れていたハディーサ事件の裁判に進展がありました。

 イラク駐留米軍のナンバー2、ピーター・キアレッリ中将は報告書に一部修正して承認し、ジョージ・ケーシー大将に報告しました。詳しい内容は明らかになっていませんが、調査が続いている事柄以外は2週間以内に公表される見込みです。リアレッリ中将はいくつかの誤りが事件の報告の過程で発生したと指摘したようです。起訴が行われる可能性はあるものの、どうやら軽い罪で終わるようです。確認された誤りには非合法制、犯罪性はないと当局者は述べています。

 銃撃戦の詳細は発表されておらず、そのために事件をどう評価すべきかは分かっていません。“やりすぎ”の印象は否定できませんが、銃撃戦の状況を知らないことには判断は下せません。詳細が報告されるのを待つしかありません。

 しかし、明らかに犯罪で、しかも残虐な事件の裁判が始まりました。今年3月に起きたマハムディヤ事件で、別件で除隊処分となった兵士が起訴されました。容疑者スティーブン・D・グリーン元上等兵(21)が人格障害によって除隊せられた上で、連邦裁判所に強姦と殺人の罪で起訴されたのです。

 犯行は作戦行動中ではなく非番の時に行われました。グリーンほか3名(4名の可能性もある)は制服を私服に着替え、酒を飲んで、あらかじめ検問所で目をつけていた女性の家に出かけました。犯行はグリーンの主導で行われ、彼が一家をバスルームに閉じこめて殺害し、女性を強姦した上で、頭部を2、3回撃って殺害しました。FBIは被害者を25歳と判断していますが、被害者の隣人によれば14歳、ワシントン・ポストの取材では15歳とのことです。女性の母親は、娘が米兵の関心を惹きつけたことに気がついており、隣の家に匿ってもらうよう相談し、隣人は同意していたということです。しかし、犯行は翌日に行われ、間に合わなかったのです。

 グリーンの異常性は犯行の様態でも明らかです。この事件のすぐ後、米兵2名が武装勢力に虐殺され、それがきっかけで同じ小隊の隊員がグリーンたちの犯罪を告発しました。グリーンは帰国後、その虐殺された米兵1名の葬儀に参列し、そのあとで逮捕されたといいます。グリーンは裁判で「無罪」を主張しました。このことから、グリーンには罪悪感はまったく見て取れず、精神の異常すら疑わざるを得ません。

 事件の被害者は明らかに民間人であり、同情が寄せられて然るべきです。イラクに民主主義をもたらすことがアメリカの真意なら、こんなことは許されません。イラク人がアメリカ女性を強姦して一家ももろとも殺害したら、アメリカ人は口を窮めて非難するはずです。いまはアメリカ人はイラク人の批判を甘んじて受けなければならないのです。

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