バンド・オブ・ブラザース 男たちの深い絆
 この本は同名タイトルのテレビドラマの原作で、ヨーロッパ戦線に参加した第101空挺師団第506連隊E中隊の体験談です。

 著者のスティーヴン・アンブローズが映画「プライベート・ライアン」でアドバイザーを務めており、この本に登場するフリッツ・ナイランド二等兵がライアンのモデルであることから、本書は「プライベート・ライアン」の原案にもなっていると考えられます。

 第101空挺師団は第82空挺師団と共にノルマンディ海岸の西端に降下しました。カランタン半島をいち早く制圧し、補給用の港としてシェルブール港を確保しやすくするためでした。そして、マーケット・ガーデン作戦、冬のアルデンヌでの戦い、ヒトラーの山荘の占領などのエピソードが書かれています。アンブローズは「ペガサス・ブリッジ」という本も書いています。このタイトルはノルマンディ海岸の東端にある橋を意味しています。この橋は米軍の空挺部隊と一緒に飛び立ったイギリス軍の空挺部隊が降下して、占拠しました。これはオランダ方面からドイツ軍が援軍を送ることを阻止するために行われた作戦です。そういう著者ですから、反対側で行われた空挺作戦を描くことはむずかしくなかったでしょう。

 本書が面白いのは、手柄話の羅列になっていないところです。性格に問題のある兵士や将校が登場しますし、失敗を犯し、気恥ずかしい思いもし、地下室のフランスワインを無断で飲んでしまうのです。また、兵士の体験だけに偏らず、その後の研究で明らかにされたことも併せて書いてあります。戦争を体験した当人が書くと偏ることも、熟練した戦記作家が書くと、さらに客観的なものになります。

 当時と現在とでは、地上戦の様相はかなり違います。それでも、現代戦の基本となったのは第二次世界大戦のヨーロッパ戦線であり、兵士の心理はさほど変わっていないという点で、本書は参考書として有用です。また、各地で出会う民間人の姿も描かれているので、戦場における民間人を知るためにも役立つでしょう。テレビドラマもよい出来なので、一緒に観賞することをお勧めします。(2006.12.25)

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