2006年10月の投稿

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投稿者:myu5
日 付:2006.10.13

スパイク通信員様、こんにちわ。

まず、北の爆発実験ですが、日本国内ではあれが「核爆発」であったことは検証の必要のない公知の事実であるかのように扱われていることに私は疑問を感じます。
TNT 200から500トン相当という最も低めの推定値からすれば、大量の爆薬の爆発であった可能性も排除できません。
核爆発特有の爆発時の電波の放射や放射性物質の発生も未だ確認されたという話も聞きません。

また、ロシアの国防相は、核爆発であったと断言しているようですが、同時にあれは、「核装置」であって「核兵器」ではない。両者の間には非常に大きな差がある、とも指摘しているようです。

つまり、核爆発だったと仮定しても、北が直ちに、あるいは極近い将来において、兵器として実戦使用可能な核を持つとはまず考えられない、というのが本当のところと思います。

目的にしても、対外的なことよりも、国内向けの動機が大部分ではないかと思います。(経済不振から目をそらす国威発揚、軍人の不満の解消など)北の国内情勢については、総書記の誕生日に物品が下賜される慣例が北の建国史上初めて今年はなかったことなどから、従来よりも遥かに危機的な状況ではないか、という観測もあります。(前のミサイル発射も、食料事情が最も厳しくなる時期である6,7月だったことからも国内事情で行ったと考えられると思います。)

 核実験があったかどうかを判断するのは非常に難しいですね。

 韓国の朝鮮日報は、今回の核実験を「いつものはったり」ではないかという疑念を掲載しています。日韓米はいずれも情報を分析中としていますが、地震波の分析はこれ以上は無理でしょうから、単に大気の分析の結果が出るのを待っているのでしょう。9日に実験が行われ、すでに4日が経っています。未だに大気に何の兆候も見つからないのは変です。今日明日中の結果を見て結論が出されると思いますが、大気にも異常がない場合、「確証はないが、核実験が行われたものと推定する」という発表をすると思います。

 ロシアがいち早く核実験と断定したのは理由が分かりませんが、核爆発の実験であり、兵器ではないとしたのは興味深いことです。原子力発電技術のためには莫大な費用を要する起爆実験は必要がないことから、核実験は核兵器開発と同意語とみなされていますが、マイケル ・ディメクリオ氏のコラムのように、マグマのエネルギーを取り出す方法があるなら兵器とは断定できないことになります。北朝鮮が「抑止力」という言葉を使った以上、これは核兵器の実験でとも言えますが、北朝鮮の発表は常に本当のことを言うとは限らないという問題もあります。北朝鮮が実験の映像を公開しないとか、祝賀式典が行われた様子がないといったことも疑問をかきたてます。北朝鮮が中国4ktという小規模の実験だと伝えたのも、通常爆薬による偽装実験を本当らしくみせるためかも知れません。先に解説したように、小型核爆弾を開発するのは技術的に難しいし、ミサイルの命中精度との兼ね合いから理屈に合わないのです。

 この状況では、確証のないまま事実を推認という形で終わるしかありません。(スパイク)
投稿者:砂川
日 付:2006.10.8

はじめまして。スパイクさんのウエッブをいつも見させていただいている砂川ともうします。

本土から沖縄まで米軍は光海底ケーブルを持ってる事をネット上で知りました。


推量するに、当然中継機と同じように潜水艦用音響測定の機器が多数ケーブルに付属していると思いますが、私の検索した範囲ではそれ以上の事はでてきませんでした。この事について詳しくご存知でしょうか?

そうであるならば、相当有効な軍事装備・施設?が広く知られないまま設置されていると言うことになります。
公にすると中国が反応するので控えているかもしれませんが、光ケーブルだけではなさそうな気がしてしょうがないですね。

お忙しいと思いますがよろしくお願いいたします。

 光通信ケーブルは、第一に米本土との連絡やデータ通信のために設置されているのだと考えられます。

 潜水艦を探知するシステムの中には、海底に常設するタイプの「サウンド・サーベイアンス・システム(SOSUS)」があります。もし、光通信ケーブルに接続するとすれば、このシステムが考えられます。これは、固定式のパッシブ・ソナーと考えればよく、100km以内にいる潜水艦を、スクリュー音を探知することで発見できます。しかし、深海部分については探知できない欠点があり、大陸棚の上に設置されるのが普通です。SOSUSが設置されているのは、北大西洋と北太平洋、一部のインド洋の大陸棚といわれており、日本近海にはないはずです。冷戦終了と同時に、SOSUSの位置づけは低くなり、現在は海洋ほ乳類の調査に使われているとも聞きます。SOSUSは、核ミサイルをアメリカに向けて撃つために接近した潜水艦を探知するために作られた装置で、それを考えると、SOSUSを日本近海に設ける意味はやや薄いように思われます。

 海上自衛隊は水中聴音機(ハイドロフォン)を持っており、艦艇の他、港湾地殻の陸上にも装備していますが、SOSUSのようにデータを解析センターに集めるようなものは持っていないはずです。水中聴音機は構造的にパッシブ・ソナーとよく似ています。ちなみに、昭和58年の国会で、秦豊氏が「宗谷、津軽及び対馬の三海峡並びに日本周辺水域の固定式対潜音波探知網の能力は、現状において満足すべきものと考えているのか。それとも可及的速やかに増強、改善を要するものと考えているのか。」という質問趣意書を提出し、中曽根康弘首相が「潜水艦探知手段の一つである水中固定機器の能力は、現在、必ずしも十分なものとは考えていないが、当該機器の位置及びその能力の細部に係る問題については、事柄の性質上、答弁することを差し控えたい。」と書面で回答しています。

 公表されていない装備を在日米軍がもっているかどうかですが、その判断はむずかしいものがあります。軍は情報の公開に関しては利益と損失を考え、公表する内容を選択します。公表することで敵に弱点を知られるようなことは発表しません。潜水艦に関する情報も機密事項が多い分野です。だから、防衛庁や自衛隊も把握していない装備を米軍が持っていても、まったくおかしくはありません。ただ、想像を広げすぎると判断を誤るので注意が必要です。軍事小説で、異様に強力な化学兵器を在日米軍がもっているといった設定を見ることがありますが、こうしたフィクションと現実を混同するのは基本的な誤りです。映画や小説では、化学兵器の効果は常に誇張されてきました。ネット上にも、そうした空想虚構話が溢れています。軍事オタクたちはこういう話が好きで、もっともらしい話を無責任に口にします。また、イデオロギー的な要素が強い政治運動家も、思想の右左を問わず、こうした情報を虚飾するものです。(スパイク)

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